インドネシア現地ニュース紹介ブログ

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ガルーダ航空値下げのこと&インドネシアの成り立ちのこと

こんにちは。インドネシアブログの更新です。

今日のニュースは航空関係です(なぜか自動車より航空関係のニュース を選んでしまうのは偶然じゃないかもしれません)。余談が多いかも知れません。

 

実は、私はインドネシアに初めて渡航する寸前くらいまで、インドネシアが地球上のどこにあるか知らなかったのです。それで、後々になって、巨大な「島嶼国家(よくこういう表現をされます)」であることを知ったのです。

 

人口約2.6億人のうち、約半分は首都ジャカルタのある「ジャワ島」に集中していますが、それ以外は他の島に住んでいます。スマトラ島カリマンタン島ボルネオ島)、スラウェッシ島、バリ島、その他沢山の島があります。

 

よく言われる話なんですが、もともとは現在のインドネシアにあたる形で国が存在していたわけではなく、16世紀以降の香辛料貿易を目的としたオランダ、イギリス、ポルトガルなど西欧諸国の来訪、それに続くオランダによる植民地支配の中で、現在のインドネシアにあたる領土部分が形取られていき、最終的には支配されていた「インドネシア」の人たちが団結して独立戦争を勝ち抜いていきます。

 

確かアジ研の佐藤百合先生の本だったと思いますが、

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インドネシア人をインドネシア人たらしめているのは、オランダから独立するために団結して戦ったという事実だけだ」

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というような文章がありました。

 

ちなみに、太平洋戦争中はそのことろの「インドネシア」を日本軍が占領していたことはよく知られたことですが、日本の敗戦をきっかけに再度オランダが植民地支配に乗りだそうとします。しかし、すでにその時には十分に醸成されていたインドネシア民族意識が開花しており、独立戦争によってインドネシアは独立を宣言します。

独立宣言は1945年、そしてその4年後の1949年に国際的に承認されることになります。

 

それで、実はその独立戦争の際、残留していた元日本兵の一部が参加していたという歴史があるのです。もちろん、その独立戦争の中で命をおとした方もいますが、生き延びてインドネシア独立後にインドネシア国籍を取得し、最期まで日本に帰ることがなかった方がかなりいるのです。

 

まだ数年前、2014年の出来事ですが、その残留日本兵の最後の生き残りとされる小野さんという方が亡くなりました。94歳まで生きられたそうです。現地で結婚され子孫を繋いだそうです。

 

戦争で家族や祖国から引きはがされても、その先でまた自分の大切な人に出会い、自分の人生を切り拓いていった人たちがいる。それを知ったとき、かなり鳥肌が立ちましたね。

 

さてさて。そういう国家の成り立ちですから、今でもインドネシアの領土の中には、多様な「民族」が共存し、多様な「言語」が現存し、人々は様々な「宗教」を信仰している。それが当たり前。その架け橋となるのがインドネシア語という共通語になります。

 

ちなみに、インドネシア国内の民族の中で、一番多いとされているのが「ジャワ人」という人たちですが、その人たちには「ジャワ語」という言語を持っていて今でもその言葉を話しています。ジャワ語の話者は今でも8千万~1億人ほどいるといわれていて、人口のかなりの割合を占めていますが、それでも独立時にジャワ語がインドネシアの国語になることはありませんでした。

 

宗教にも似たようなことがあって、現在インドネシアでは人口の9割以上がイスラム教の信者だと言われていますが、「国の宗教」にはなっていませんし、そもそも国の宗教というのはありません。

 

このあたりがインドネシアの基本的な考え方の特徴で、バックグラウンドは違っていて当たり前、それでもなお、自分たちはインドネシア民族である、というのがベースにあります。インドネシア人はこれを「多様性の中の統一(Bhinneka Tungal Ika)」と呼んでいます。

 

話しを少し拡げますが、こういった状況のインドネシアですから、国として団結して進むために、独立以来「パンチャシラ(Pancasila)」という国の5つの原則を持っています。国是ですよね。こんな感じのです(↓)

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1.唯一神への信仰 (Ketuhanan Yang Maha Esa
2.公正で文化的な人道主義 (Kemanusiaan Yang Adil dan Beradab)
3.インドネシアの統一 (Persatuan Indonesia)
4.合議制と代議制における英知に導かれた民主主義 (Kerakyatan Yang Dipimpin oleh Hikmat Kebijaksanaan, Dalam Permusyawaratan / Perwakilan)
5.全インドネシア国民に対する社会的公正 (Keadilan Sosial bagi seluruh Rakyat Indonesia)

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独立後の歴史のなかで、その時代の権力者に湾曲されて利用されたこともあったようですが、「パンチャシラ」は今でも現存しています。

 

かつて1990年代末期に起きたアジア通貨危機インドネシアにも襲いかかり、猛烈なルピア安が国民を苦しめ、それをきっかけとして30年以上続いていた「スハルト大統領」体制に対する不満が爆発。ほどなくしてスハルト政権は崩壊しましたが、その際、今までスハルトの権力によって絞めていたものが一気に緩んだとき、インドネシアという国家体そのものの存続を危ぶんだ人が国内外にいたそうです。

 

それでもなお、皆さんご存じのとおり、インドネシアとしての国家体をいじることができました(もちろん依然として独立問題を抱える地域もありますし、東ティモールのように独立してしまったところもあります)。

 

ですから、「多様性の中の統一(Bhinneka Tungal Ika)」は彼らの中でしっかり根付いているのかもしれませんよね。

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むりやり話しを戻します。

それで、多くの島に人口が分散しており、それぞれの島内でも高速鉄道等の公共交通機関が未発達であるインドネシアですから、航空輸送はかなり重要です。

 

旅客輸送でも、様々な航空会社があります。よく知られているものでいうと、「ガルーダインドネシア航空」、「ライオンエア」、「バティックエア」、「シティリンク」、「スリウィジャヤエア」、「ナムエア」などがあります。

 

ただ、残念ながらあまり評判のいい航空会社がないような。ライオンエアは昨年に墜落事故を起こしましたし、シティリンクは二年ほど前に、酩酊状態のパイロットが搭乗して大騒ぎ、というようなこともありました。ガルーダインドネシアも川に緊急着陸してますし。古い話ですが、福岡からのガルーダが離陸に失敗したことを覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。

 

国民の貧富の差が非常大きい国ですし、インドネシア国内ではかねてから航空運賃が高いというのはずっと言われて、帰省のためのお金を一生懸命貯めなければいけない人もたくさんいるでしょう。

 

それで、ここへ来てインドネシア航空業界のリーダーともいえるガルーダインドネシアグループが値下げに踏み切ったというニュースになります。

 

記事の中でガルーダの最高責任者の方が述べているのですが、国営であるガルーダインドネシアが積極的に値下げに踏み込むことで、他の航空会社や関連企業にも良い方向に相乗効果を発揮するのではないか、ということらしいんですよ。フライトのクオリティは維持して、価格をお手頃に、という風にも仰っていますが。

大丈夫でしょうか??

 

今日はこのあたりで。

ニュースの翻訳にうつります。

www.beritasatu.com

 

<日本語>

ガルーダグループ 航空運賃を20%値下げ

2019年2月14日 西インドネシア時間9時51分

ジャカルタ Beritasatu.com ガルーダインドネシアグループは、フルサービスキャリアであるガルーダインドネシア航空から、ローコストキャリアのシティリンクインドネシアおよびスリウィジャヤエア、ナムエアグループについて、本日木曜日より全ての路線で20%ほど値下げすることを発表した。今回の値下げは、先日インドネシア航空業協会での合意によってすでに複数路線において行われている値引に続くものである。

 

「今回の値下げについては 国民、国の産業団体等の要望、そして、航空交通サービスの向上を通じて特に観光分野、中小企業を中心として、さらにその他の産業も含めたインドネシア国内産業の育成や、経済成長を促したいジョコウィドド大統領の意向とも一致している。」と、ガルーダインドネシア最高経営責任者 イ・グスティ・ングラ・アスカラ氏は木曜日に開開催された記者会見で述べた。

 

また、国営企業であるガルーダインドネシア航空がこの取り組みを率先して行うことで、航空業界の適正な秩序を確かなものにし、ひいては、航空運輸サービスを支える全てのセクターに相乗効果がみこめる。さらに国民の航空交通サービスに対するアクセシビリティの観点、また、インドネシア国内航空会社のビジネスサステナビリティにも貢献する、とイ・グスティ・ングラ・アスカラ氏。

 

この値下げによってガルーダインドネシアグループは、より広い層のインドネシア国民が航空サービスにアクセスしやすくすることで、ガルーダインドネシアグループはより多くの人々のニーズを取り込み、より質が高くかつ全ての層の人々に手の届きやすいサービスを提供したいと考えている。

 

最後に、イ・グスティ・ングラ・アスカラ氏は「今回の値下によって、持続的に、より質が高く、かつ競争力のある価格を提供することができることを確信している。」としめくくった。(終)

 

<原文>

Garuda Group Turunkan Tarif Tiket Pesawat 20%

Kamis, 14 Februari 2019 | 09:51 WIB

Jakarta, Beritasatu.com- Garuda Indonesia Group melalui lini layanan full service Garuda Indonesia dan Low Cost Carrier (LCC) Citilink Indonesia serta Sriwijaya Air-NAM Air Group mengumumkan penurunan harga tiket di seluruh rute penerbangan sebesar 20% mulai hari ini Kamis  (14/1).

 

Penurunan tarif tiket pesawat ini merupakan tindak lanjut dari inisiasi awal Indonesia National Air Carrier Association (INACA) yang sebelumnya baru berlaku di beberapa rute penerbangan.

 

“Hal tersebut sejalan dengan aspirasi masyarakat dan sejumlah asosiasi industri nasional serta arahan Presiden Jokowi mengenai penurunan tarif tiket penerbangan dalam mendukung upaya peningkatan sektor perekonomian nasional khususnya untuk menunjang pertumbuhan sektor pariwisata, UMKM, hingga industri nasional lainnya, mengingat layanan transportasi udara memegang peranan penting dalam menunjang pertumbuhan perekonomian," ujar Direktur Utama PT Garuda Indonesia (Persero) Tbk I Gusti Ngurah Askhara Danadiputra dalam siaran pers, Kamis.

 

Menurutnya, komitmen positif Garuda Indonesia Group sebagai BUMN tersebut sejalan dengan sinergi positif seluruh sektor penunjang layanan penerbangan dalam memastikan tata kelola industri penerbangan yang tepat guna,

 

baik dari aspek aksesibilitas masyarakat terhadap layanan transportasi udara serta business sustainability maskapai penerbangan di Indonesia.

 

Lebih lanjut melalui penurunan tarif tiket penerbangan tersebut, Garuda Indonesia Group berharap akses masyarakat terhadap layanan transportasi udara dapat semakin terbuka luas, sehingga Garuda Indonesia Group dapat mengakomodir aspirasi masyarakat dalam memberikan pelayanan berkualitas yang dapat menjangkau seluruh elemen masyarakat.

 

"Penurunan harga tiket tersebut kami pastikan akan menjadi komitmen berkelanjutan Garuda Indonesia Group dalam memberikan layanan penerbangan yang berkualitas dengan tarif tiket penerbangan yang kompetitif, " tutup Ari. (FIN)